日本で事業を始めるまでの全行程|経営管理ビザ前提ではない起業ガイド

日本での起業に関する情報
日本で事業を始めるまでの全行程|経営管理ビザ前提ではない起業ガイド|金榮国際行政書士事務所
外国人のための日本ビジネス開業ガイド

日本で事業を始めるまでの、全19の行程。

会社を作ること自体は、ゴールではありません。本当に必要なのは「日本で誰が実務を回すのか」「許認可は必要か」「税務・社保・契約を誰が管理するのか」を、開業前に一つずつ詰めておくことです。このページでは、経営管理ビザの取得工程ではなく、事業構想の整理から開業後の維持運営までを一本の道として、行政書士の実務目線で整理しています。

全19ステップ 構想〜開業後の運営まで
4つのフェーズ 設計/設立/体制整備/開始
3つの進め方 法人設立先行/海外先行検証/支店モデル
OUR POSITION
  1. 経営管理ビザの取得工程と、事業を成立させる工程は、別物です。
    1. 「在留資格が取れるか」が中心
    2. 「事業が続くか」が中心
  2. 会社を作る前に、事業そのものを設計する
    1. 事業の中身と適法性
    2. 事業形態と実務体制
    3. 資金計画と会社設計
    4. 拠点と資本設計
    5. 事業構想の整理
    6. 日本で行う事業の適法性確認
    7. 日本での事業形態の決定
    8. 誰が日本で実務を担うかの設計
    9. 収支・資金計画の作成
    10. 会社の基本設計
    11. 事務所・店舗・拠点の確保
    12. 出資・送金・資本金設計
  3. 定款を作り、登記し、運営できる状態にする
    1. 定款作成と法人設立
    2. 設立後の基礎インフラ整備
  4. 税務・社会保険・許認可・契約を整える
    1. 税務届出
    2. 社会保険・労働保険手続
    3. 許認可取得
    4. 契約・利用規約・社内体制整備
    5. 銀行・会計・請求体制整備
    6. 採用または外注体制整備
  5. 営業を開始し、継続できる体制で回す
    1. 集客・営業準備
    2. 営業開始
    3. 開始後の維持運営
  6. 実務で特に詰まりやすい5つのポイント
      1. 日本で回す人がいない
      2. 銀行口座開設
      3. 許認可要件を事前確認していない
      4. 税務・社保を後回しにする
      5. 本社と日本法人の費用関係が曖昧
  7. あなたに合う、現実的な進め方
      1. 日本法人を作り、日本側で運営する
      2. まず海外からテストし、日本法人は後で作る
      3. 日本支店または日本代理店モデル
  8. 最後に確認すべきこと
  9. 事業構想の整理から、一緒に進めませんか。

経営管理ビザの取得工程と、事業を成立させる工程は、別物です。

ネット上の「外国人 日本 起業」情報の多くは、経営管理ビザの取得を目的に書かれています。在留資格は日本で活動するための入口として重要ですが、それだけでは事業は成立しません。当事務所では、ビザ取得を一つの要素として扱いながら、市場調査・販路設計・採用・オペレーション構築・税務労務運営まで含めた「事業として続けられる工程」を中心に整理しています。

ビザ目的寄りの起業情報

「在留資格が取れるか」が中心

  • 資本金要件
  • 事務所の独立性・形式要件
  • 申請書類の整備
  • 在留資格審査の通過

士業による発信が多く、申請・要件・手続中心になりやすい領域です。

事業目的寄りの起業情報

「事業が続くか」が中心

  • 顧客・提供価値・収益モデル
  • 日本市場への適応と販路
  • 採用・実務運営体制
  • 許認可取得後の継続運営

日本人向け創業情報や業種別開業情報の方が、実務的に詳しいことが多い領域です。

当事務所の立場:このガイドはビザ取得をゴールにしていません。市場調査から始まり、進出形態の決定、運営体制の設計、収支計画、法人設立・税務・社保、営業準備、開業後の運営までを一つの工程として示します。在留資格の論点は、その中の一要素として扱います。
PHASE 01 — 構想・設計

会社を作る前に、事業そのものを設計する

法人形態も、許認可も、税務も、契約も、採用も──すべては「何を、誰に、どう提供するか」が固まって初めて決まります。ここが曖昧なまま進めると、後工程のすべてがぶれます。

STEP 01–02

事業の中身と適法性

何をどう提供するか/日本法上どう扱われるかを確認します。

STEP 03–04

事業形態と実務体制

株式会社か合同会社か、日本で誰が実務を担うかを決めます。

STEP 05–06

資金計画と会社設計

収支計画を作り、商号・資本金・役員体制を固めます。

STEP 07–08

拠点と資本設計

事務所・店舗を確保し、出資と送金の経路を設計します。

01
FOUNDATION

事業構想の整理

最初に、何をどのように日本で行うのかを具体化します。ここが曖昧だと、その後の法人形態、許認可、税務、契約、採用、営業のすべてがぶれます。

整理する項目
  • 商品・サービスの内容
  • 顧客は誰か(法人/個人/在日外国人/海外)
  • 売上の発生源
  • 提供方法(オンライン/対面/店舗/配送)
  • 誰がサービス提供を行うか
  • 初期費用
  • 売上開始時期
この段階で決めるべきこと:日本で本当に会社を作る必要があるか/海外法人のまま試験営業できないか/日本法人と海外法人の役割分担
02
LEGAL CHECK

日本で行う事業の適法性確認

事業が日本法上どのように扱われるかを確認します。許認可の要否、資格者配置、責任者設置、表示規制などを事前にチェックします。

許認可が必要になりやすい業種

飲食店/宿泊/人材紹介・派遣/不動産仲介/建設/旅行/古物営業/金融関連/医療関連/酒類販売/倉庫・運送

許認可不要でも法対応が必要な業種

EC/オンライン講座/SaaS/コンサル/マーケティング支援/輸入販売/メディア運営

先に確認しないと危険なこと:事務所が許可基準を満たさない/会社目的の文言不足/必要資格者の不在/日本居住の責任者不在
03
STRUCTURE

日本での事業形態の決定

主な選択肢は、株式会社/合同会社/外国会社の日本支店/日本法人を作らず業務委託提携のみ、の4つです。

株式会社が向くケース

信用性重視/将来の出資受入れ/日本企業との取引重視/採用を本格的に行う

合同会社が向くケース

初期コスト抑制/小規模スタート/オーナー主導で柔軟に運営

日本支店は、海外本社主体で日本展開し、日本法人を独立採算にせず、まず拠点機能を置きたい場合に向いています。

この段階で決めること:株主は誰か/代表者は誰か/日本で意思決定する人は誰か/利益をどこに残すか/将来の増資・持分移転の方針
04
CRITICAL

誰が日本で実務を担うかの設計

ここが最も重要です。経営・管理ビザを取らない場合、日本国内で誰が実務を行うかを明確にしないと事業は始まりません。

想定される体制
  • 日本在住の代表取締役を置く
  • 日本在住の従業員を採用する
  • 日本の業務委託先に営業・管理を委託
  • 士業・BPOでバックオフィスを外注
  • 倉庫・物流・カスタマー対応を委託
よくある失敗:会社だけ作って日本で回す人がいない/代表が業務内容を理解していない/本社と日本側の権限分担が曖昧/印鑑・送金・契約承認が遅く現場が回らない
05
FINANCE

収支・資金計画の作成

会社設立前に、最低でも1年分の収支計画を作るべきです。初期費用一覧、月次固定費、売上予測、資金繰り表、損益計画までを一式そろえます。

初期費用の例

設立・登記・定款認証費用/専門家報酬/敷金礼金・内装費/PC・通信環境/サイト制作/許認可申請費用/採用費

固定費の例

家賃/人件費/社会保険料/税理士報酬/会計ソフト/通信費/広告費/業務委託費/倉庫代/保険料

資金計画で重要なこと:売上ゼロで何か月耐えられるか/資金注入のタイミング/海外親会社からは貸付か出資か/為替変動の影響/立替精算ルール
06
DESIGN

会社の基本設計

商号、本店所在地、事業目的、資本金、株主、役員、事業年度、公告方法、印鑑の方針、決裁権限を決めます。

特に大事なポイント
  • 商号:同一住所同一商号は不可。他社商標との近似に注意。英文表記も検討。
  • 事業目的:現在行う事業を漏れなく記載。許認可業種は文言に注意。将来の周辺事業も検討。
  • 資本金:少なすぎると信用面で不利。許認可の資産要件にも影響。
  • 役員体制:誰が法的責任を負うか/誰が日常運営するか/海外居住役員のみで実務が回るか。
07
LOCATION

事務所・店舗・拠点の確保

オンライン事業であっても、対外信用や銀行審査の面で所在地は重要です。賃貸オフィス、レンタルオフィス、コワーキング、店舗物件、倉庫、バーチャルオフィスなど選択肢を比較します。

確認事項
  • 法人登記可能か
  • 許認可に使えるか
  • 郵便受取の可否
  • 外国法人・外国人の契約可否
  • 保証人・保証会社の条件
  • 原状回復条件
業種別の注意:飲食=厨房・換気・消防/人材紹介=独立スペース/建設・古物=営業所性/EC=倉庫・返品先住所/物流=搬入出条件
08
CAPITAL

出資・送金・資本金設計

個人出資、海外法人からの出資、貸付、複数株主出資など、資金をどう入れるかを設計します。

実務で重要なこと
  • 資金の出所が説明できること
  • 設立時の払込が適切に証明できること
  • 本社立替と個人立替を混同しないこと
  • 役員借入金だらけにしないこと
PHASE 02 — 法人設立

定款を作り、登記し、運営できる状態にする

設計が固まったら、いよいよ法人を形にする段階です。登記が完了しても、それだけでは事業は始められません。動ける状態に整えるところまでが「設立」の範囲です。

09
INCORPORATION

定款作成と法人設立

株式会社の場合
  • 定款案作成
  • 発起人情報整理
  • 公証人認証
  • 資本金払込
  • 登記申請
  • 登記完了
合同会社の場合
  • 定款案作成
  • 出資実行
  • 登記申請
  • 登記完了
必要になりやすい資料
  • 発起人の本人確認資料
  • 海外住所資料
  • サイン証明等
  • 委任状
  • 役員就任承諾書
  • 払込証明書
登記後に取得するもの:履歴事項全部証明書/印鑑証明書/法人番号
10
INFRASTRUCTURE

設立後の基礎インフラ整備

会社ができたら、運営できる状態に整えます。法人印、銀行口座、電話番号、メールドメイン、Webサイト、請求書・契約書フォーマット、会計ソフトなどを一通りそろえます。

実務上重要なこと:銀行口座開設は早めに動く/会社の事業内容説明資料を用意する/サイトがないと銀行・取引先審査で不利になることがある/電子署名権限者を決める
PHASE 03 — 届出・体制整備

税務・社会保険・許認可・契約を整える

このフェーズが、開業後のトラブルを左右する最大の山場です。期限のある届出が集中し、後回しにすると一気に混乱します。

11
TAX

税務届出

法人設立後は税務署や自治体へ届出をします。

主な届出
  • 法人設立届出書
  • 青色申告の承認申請書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 源泉所得税関係の届出
  • 消費税関係届出
  • 都道府県・市区町村への法人設立届
検討事項:消費税の課税事業者になるか/インボイス登録の要否/源泉徴収対象報酬の有無/海外本社との取引処理。期限と書式は自治体ごとに異なるため、早めに税理士を入れる方が安全です。
12
LABOR

社会保険・労働保険手続

法人は原則として社会保険の適用対象です。役員報酬を出す場合や従業員を雇う場合は特に重要になります。

社会保険の主な手続

新規適用届/被保険者資格取得届/被扶養者届

労働保険の主な手続

労災保険の成立届/雇用保険適用事業所設置届/被保険者資格取得届

整備すべきもの:雇用契約書/労働条件通知書/就業規則/賃金規程/勤怠管理方法/36協定の要否
13
LICENSING

許認可取得

該当業種であれば、ここが営業開始の前提になります。許認可の種類を特定し、要件を満たした上で行政庁へ申請、補正対応を経て許可を取得します。

事前に確認するべきこと
  • 法人設立後でないと申請できないか
  • 代表者の欠格事由の有無
  • 外国籍者でも責任者就任が可能か
  • 実務経験の要否
  • 財産要件・営業保証金の要否
14
CONTRACTS

契約・利用規約・社内体制整備

事業開始前に、法的・実務的なルールを作ります。取引基本契約書、業務委託契約書、秘密保持契約、利用規約、プライバシーポリシー、特商法表示などが代表的です。

オンライン事業なら特に必要:個人情報保護対応/クッキー利用説明/有料課金条件/解約条件/返金条件/問い合わせ窓口表示
15
FINANCE OPS

銀行・会計・請求体制整備

銀行・会計

法人口座開設/ネットバンキング・海外送金設定/送金承認権限/会計ソフト選定/勘定科目・締め日設定/証憑保存・立替精算ルール

請求

請求書様式/入金口座管理/売掛金管理/未回収対応/ECなら決済代行導入

海外本社がある場合:本社請求との切分け/ロイヤルティや業務委託料の整理/移転価格・源泉税論点の確認/月次レポート形式の統一
16
TEAM

採用または外注体制整備

採用する場合は、職種の明確化から雇用条件設計、募集、面接フロー、入社手続までを準備します。外注する場合は、業務範囲・成果物・情報管理・再委託可否・支払条件を契約で明確にします。

最初に外注しやすい領域
  • 経理
  • 給与計算
  • 総務
  • 翻訳
  • Web制作
  • 広告運用
  • カスタマーサポート
  • 営業アポ取得
PHASE 04 — 開始・運営

営業を開始し、継続できる体制で回す

会社を作ったことではなく、継続して運営できることが本当のゴールです。集客準備から開始後の維持運営まで見通しておきます。

17
GO-TO-MARKET

集客・営業準備

事業開始前に、売る準備をしておきます。ターゲット定義、提案資料・価格表の作成、Webサイト公開、問い合わせ導線設計、営業リスト作成などを整えます。

BtoBなら

会社案内/サービス資料/提案書雛形/契約締結フロー/商談後フォロー体制

BtoCなら

広告導線/申込フォーム/FAQ/カスタマー対応/返金ルール

18
LAUNCH

営業開始

ここで初めて実際の営業を始めます。開始前に、許認可・契約書・請求体制・口座・顧客対応者・納品フロー・税務社保の最低限が整っているかを確認します。

開始直後にやるべきこと
  • 初回契約のレビュー
  • 顧客対応フローの修正
  • 見積と実原価の差異確認
  • 入金管理・月次試算表の確認
  • 問題・クレームの早期把握
19
ONGOING

開始後の維持運営

事業開始後に重要なのは、会社を作ったことではなく継続運営できることです。記帳、納税、社会保険納付、許認可更新、契約・労務・顧客管理、資金繰り、決算・申告までを継続的に回します。

FIELD NOTES

実務で特に詰まりやすい5つのポイント

行政書士として相談を受ける中で、繰り返し発生する論点です。

01

日本で回す人がいない

経営・管理ビザを取らない場合、ここが最大の課題になります。会社だけ作っても、実務を回す人がいなければ事業は止まります。

02

銀行口座開設

外国人関与会社、海外オーナー会社は審査が慎重になりやすく、想定より時間がかかることがあります。

03

許認可要件を事前確認していない

事務所契約後に「この事務所では許可が取れない」と判明するケースが少なくありません。

04

税務・社保を後回しにする

開業後にまとめて対応しようとすると、期限超過や混乱を招きやすくなります。

05

本社と日本法人の費用関係が曖昧

立替、請求、送金、ロイヤルティの整理を後回しにすると、後から税務上の問題になりやすい領域です。

3 APPROACHES

あなたに合う、現実的な進め方

来日前、あるいは日本に長期滞在せずに日本で会社を持ちたい場合、実務上は次の3パターンに分かれることが多いです。

A

日本法人を作り、日本側で運営する

本格展開型
  1. 事業内容確認
  2. 許認可確認
  3. 日本側代表・運営責任者の確保
  4. 会社設計
  5. 事務所確保
  6. 設立
  7. 税務・社保・許認可
  8. 日本側で営業開始
B

まず海外からテストし、日本法人は後で作る

検証先行型
  1. 日本市場調査
  2. 提携先開拓
  3. 販売可能性検証
  4. 必要があれば日本法人設立
  5. 本格投資
C

日本支店または日本代理店モデル

拠点・委託型
  1. 海外本社主体で設計
  2. 日本側販売・運営委託先の確保
  3. 必要に応じて支店または法人設立
  4. 許認可・契約体制整備
  5. 開始
BEFORE YOU START

最後に確認すべきこと

あなたが本当に知るべきなのは、単に「法人を作る流れ」ではなく、次の5点です。

  • 01あなた自身は日本国内で何をするのか
  • 02誰が日本で日常運営するのか
  • 03その事業に許認可が必要か
  • 04日本法人が必要か、支店で足りるか
  • 05税務・社保・契約を誰が管理するか

事業構想の整理から、一緒に進めませんか。

金榮国際行政書士事務所では、在留資格の取得だけでなく、市場調査・進出形態の検討から、許認可の要否確認、法人設計、定款作成、設立後の届出まで、事業として成立させるための全行程をサポートします。まずは事業内容のヒアリングから始めましょう。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。業種や事業内容、在留資格の状況により必要な手続は異なりますので、具体的な進め方については個別にご相談ください。