株式会社設立の流れ(外国人向け)

会社設立
株式会社設立の流れ(外国人向け)|最新の制度に基づく9ステップ解説|金榮国際行政書士事務所
金榮国際行政書士事務所

株式会社設立の流れ(外国人向け)

外国人が日本で株式会社を設立する場合の手続きを、9つのステップに分けて整理しました。会社設立に関するネット上の情報は、定款認証手数料や経営管理ビザの基準など、制度改正前の古い金額・要件のまま掲載されていることが少なくありません。本記事では、そうした点を現行制度にあわせて訂正したうえでご紹介します。

訂正①
定款認証手数料は「一律5万円」ではありません。令和4年・令和6年の制度改正により、資本金の額等に応じて1万5,000円〜5万円の4段階制になっています。詳しくは「設立にかかる実費」をご覧ください。
訂正②
経営管理ビザの基準が、令和7年10月16日に改正されています。常勤職員1名以上の雇用、資本金等3,000万円以上、相当程度の日本語能力、事業計画書の専門家確認などが新たに必要です。旧基準(資本金500万円など)を前提にした情報は、現在は適用されませんのでご注意ください。詳細は経営・管理ビザ改正Q&Aの記事をご覧ください。

役員の居住地によって、必要な期間と書類が変わります

代表取締役を含む役員全員が日本に居住しているかどうかで、書類のやり取りの方法と設立までの期間が大きく変わります。

パターンA

役員全員が日本居住の場合

設立までの目安:約2週間

国際郵便で書類をやり取りする必要がないため、比較的短期間で手続きを進められます。

必要書類
  • 日本の印鑑証明書(市区町村発行)2通
  • 個人の実印
  • これから作る会社の実印
パターンB

役員の中に海外居住者がいる場合

設立までの目安:約1か月

国際郵便でのやり取りが発生するため、配送日数を見込んだスケジュールが必要です。

必要書類(国籍により異なる)
  • 中国居住者:本国発行の印鑑公証書+翻訳文
  • 台湾居住者:台湾の印鑑証明書+翻訳文
  • 韓国居住者:印鑑証明書、または本人署名事実確認書+翻訳文(韓国では署名による証明制度も利用できます)
  • その他の国籍:本国発行のサイン証明書+翻訳文
  • 日本居住の役員がいる場合:国籍を問わず日本の印鑑証明書
  • これから作る会社の実印

株式会社設立までの9ステップ

案件によってはこの他にも手続きが必要になる場合があります。個別の状況に応じた進め方は、事前にご相談ください。

01

株式会社の基本事項を決める

商号(会社名)、本店所在地、事業目的、発起人(株主)、発起人の出資額、役員構成などを決定します。本店所在地は最初に確定させる必要があるため、この時点で事務所を借りるか、一時的に自宅住所を使うかを決めておく必要があります。

02

「定款」を作成する

株式会社の基本原則となる「定款」を作成します。商号・本店所在地・事業目的・資本金額・役員構成・決算期など、会社の重要事項を定めた書類で、一般にA4で4〜5ページ程度になります。完成した定款は、内容を確認のうえ次のステップへ進みます。

03

公証役場で定款を認証する

作成した定款を、公証役場で公証人の認証を受けます。電子定款(PDF化したものに電子署名を施す方式)を利用すれば、紙の定款で必要となる収入印紙4万円が不要になります。なお、定款認証の手数料自体は資本金等の額に応じて変動する段階制になっています(詳細は「設立にかかる実費」を参照)。

04

会社の資本金を振り込む

公証役場での定款認証が完了した後、発起人個人の口座に資本金を振り込みます。振込先は日本国内の銀行口座である必要があります(海外銀行の日本支店の口座でも可)。そのため、日本に銀行口座を持たない方が単独で会社を設立するのは実務上難しく、口座開設や手続き面で協力してくれる方(一時的に役員になる方)が必要になるケースが多くあります。海外送金で振り込む場合は、着金日や定款認証日との前後関係に注意が必要です。振込後は「払込証明書」を作成します。

05

法務局へ法人設立登記をする(会社設立)

設立登記に必要な書類一式を準備し、法務局へ法人設立登記と会社代表印の登録を行います。登記申請日が会社の設立日となります。補正がなければ、登記申請から1週間程度で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得できるようになります。登記の際にかかる登録免許税は、資本金額の0.7%相当額、または15万円のいずれか高い方です。

06

税務署へ各種届出をする

「法人設立届出書」「給与支払事務所等の開設届出書」「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」など、税務署に提出すべき届出を行います。これらの届出の控えは、経営管理ビザ申請時に添付書類として必要になります。

07

必要な許認可を取得する(該当する場合)

古物商許可、人材紹介業、旅行業、不動産業、建設業、飲食店営業許可、免税店許可など、許認可が必要な業種でビジネスを行う場合は、経営管理ビザの申請「前」に許認可を取得しておく必要があります。

08

経営管理ビザの申請(出入国在留管理局)

在留資格申請書、事業計画書、その他の証明書類を準備したうえで、出入国在留管理局へ経営管理ビザを申請します。

ご注意:令和7年10月16日の制度改正により、常勤職員1名以上の雇用、資本金等3,000万円以上、相当程度の日本語能力、事業計画書に対する専門家(中小企業診断士・公認会計士・税理士)の確認など、新たな許可基準が追加されています。申請前に最新の基準を満たしているか必ず確認してください。詳しくは経営・管理ビザ改正Q&Aをご覧ください。
09

年金事務所・労働基準監督署・ハローワークへの各種届出

常勤職員を雇用する場合など、法令に基づき必要な届出を行います。経営管理ビザの審査においては必須の手続きではありませんが、常勤職員の雇用が許可基準の一つとなった現在は、実務上ほぼ必須の対応になります。

社名決定の4つのルール

会社名を決める際には法律上のルールがあります。難しい内容ではありませんが、決めた後に変更が必要にならないよう、事前に確認しておきましょう。

01

社名に「株式会社」の文字を入れる

「株式会社」は社名の前でも後でもかまいません。「株式会社〇〇」でも「〇〇株式会社」でも、自由に決めることができます。

02

使える文字に制限がある

使用できるのは、漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字(大文字・小文字)・数字(0〜9)・一定の符号(& ‘ , - . ・)です。中国語の簡体字・繁体字や、ハングル文字は使用できません。

03

同一住所での同一商号は不可

同じ住所に同じ商号の会社を登記することはできません。本店所在地を決める際にあわせて確認しておくとよいでしょう。

04

他社の商標との類似に注意

法律上は登記できてしまう場合でも、既存の有名企業や商標と似た社名は、後にトラブルの原因になることがあります。事前に確認しておくと安心です。

定款に定める「事業目的」のポイント

定款に定めた事業目的は、会社の登記事項証明書にも記載されます。「具体的であること」「明確であること」「適法であること」が基本ルールです。

会社設立後すぐに行う事業を記載するのが基本ですが、将来的に行う予定がある事業についても、あらかじめ盛り込んでおくことができます。後から事業目的を追加・削除する場合は、法務局への登録免許税として3万円がかかります。許認可が必要なビジネスを行う場合は、事業目的にその旨をきちんと記載していないと、原則として許可を取得できません。たとえば中古自動車の輸出入を行いたい場合は、「古物営業法に基づく古物商」「中古自動車の買取、販売及び輸出入」のように、事業目的に明記しておく必要があります。

株式譲渡制限について

会社の株式を譲渡する際に、会社の承認を必要とするかどうかを定める制度です。

株式を自由に譲渡できる状態にしておくと、株主が頻繁に入れ替わり、知らない第三者が株主になってしまうおそれがあります。これを防ぐため、株式の譲渡には会社の承認を必要とする「株式譲渡制限」の規定を定めることができます。上場を目指す大規模な会社は別ですが、外国人オーナーが経営する小規模な株式会社の場合、株式譲渡制限を設けておくことをおすすめします。

株式会社設立にかかる費用(最新の制度に基づく金額)

定款認証手数料は、かつては資本金額にかかわらず一律5万円でしたが、令和4年1月および令和6年12月の制度改正により、資本金等の額に応じた段階制に変更されています。

項目金額備考
定款認証手数料1万5,000円〜5万円資本金等100万円未満かつ一定要件を満たす場合は1.5万円/100万円未満は3万円/100万円以上300万円未満は4万円/300万円以上は5万円
定款の謄本代約2,000円1ページにつき250円。一般的な定款は8ページ前後
収入印紙4万円紙の定款の場合のみ。電子定款の場合は不要
登録免許税(設立登記)15万円〜15万円、または資本金額の0.7%相当額のいずれか高い方

※上記は株式会社設立にかかる法定の実費のみで、行政書士・司法書士等への報酬は別途かかります。

電子定款を利用した場合、資本金額によっては実費の合計が約16万5,000円〜に収まるケースもあります。紙の定款を使用する場合は、これに収入印紙代4万円が加算されます。資本金の額は、定款認証手数料・登録免許税の両方に影響するため、設立前に試算しておくことをおすすめします。

来日せずに外国人が日本で株式会社を作れるか

日本で株式会社を設立するには、定款を公証役場で認証し、設立登記申請書を管轄の法務局へ提出する必要があります。

外国人1人だけで会社を設立する場合、来日せずに手続きを完了させるのは実務上ほぼ不可能です。特に、資本金の振込先となる日本国内の銀行口座は、本人が来日して開設する必要がある場合が大半だからです。日本国内に、手続きに協力してくれる方(一時的に役員になる方)がいる場合は、その方に動いていただくことで来日せずに進められる可能性があります。行政書士に依頼することで、設立手続きの大部分を代行してもらえるため、来日が不要になるケースも少なくありません。

株式会社設立のために作成する書類

取締役が1名のみのケースと、複数名いるケースで、必要書類が一部異なります。

取締役1名のケース

  • 定款
  • 払込証明書
  • 登記申請書
  • OCR用紙
  • 印鑑届

取締役複数名のケース

  • 定款
  • 払込証明書
  • 取締役決議書
  • 就任承諾書
  • 登記申請書
  • OCR用紙
  • 印鑑届

設立後に必要となる主な届出

提出先ごとに、主に必要となる届出をまとめています。事業内容や従業員の有無によって必要な届出は異なります。

税務署
法人設立届出書
給与支払事務所等の開設届出書
源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書
青色申告の承認申請書
棚卸資産の評価方法の届出書
都道府県税事務所・市区町村役場
事業開始等申告書
年金事務所
新規適用届
新規適用事業所現況届
被保険者資格取得届
健康保険被扶養者(異動)届
労働基準監督署
保険関係成立届
概算保険料申告書
会社謄本、従業員名簿、賃金台帳、出勤簿などの添付書類
ハローワーク
適用事業所設置届
雇用保険被保険者資格取得届
労働保険関係成立届の控え(労働基準監督署の受付印付き)など添付書類

情報の正確性について

会社設立に関する一般的な情報は、制度改正の前後で内容が更新されないまま掲載され続けていることが少なくありません。本記事は、定款認証手数料の段階制(令和4年1月・令和6年12月改正)や、経営管理ビザの新基準(令和7年10月16日改正)など、特に古い情報が残りやすいポイントについて、最新の制度に基づき内容を訂正・更新しています。法令や運用は今後も変更される可能性があるため、実際の手続きにあたっては最新情報をご確認のうえ、当事務所までご相談ください。

会社設立から経営管理ビザの申請まで、まとめてご相談ください。

金榮国際行政書士事務所では、定款作成・電子定款認証から、設立登記のための司法書士連携、税務署等への各種届出、経営管理ビザの申請まで、外国人の方の会社設立を一貫してサポートしています。最新の許可基準を踏まえたご提案が可能です。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。手数料や税額、許可基準は今後変更される可能性があるため、最新情報は公証役場・法務局・出入国在留管理庁等の公式情報をご確認のうえ、具体的な手続については個別にご相談ください。