経営・管理ビザ、何が変わったのか。改正点とQ&Aを整理しました。
在留資格「経営・管理」の上陸基準省令等が令和7年10月16日に改正されました。常勤職員の雇用、資本金3,000万円以上、日本語能力、事業計画書の専門家確認など、これから申請・更新を行う方が押さえておくべき変更点を、出入国在留管理庁が公表しているQ&A(全32問)とあわせて整理しています。
まず押さえておきたい3つのポイント
出入国在留管理庁が「特にお問合せが多い質問」として案内している内容です。改正後すぐに新基準を満たせない場合の扱いについて、誤解が生じやすいポイントでもあります。
5つの許可基準が変わりました
改正の中心となる5つのポイントです。いずれも在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請における新たな許可基準です。
常勤職員の雇用が必須に
申請者が営む会社等において、1人以上の常勤職員を雇用することが必要になりました。
資本金等3,000万円以上が必要に
事業主体が法人の場合は払込済資本の額(資本金の額)または出資の総額、個人の場合は事業所の確保・職員給与1年分・設備投資経費など、事業に投下されている総額が3,000万円以上必要です。
相当程度の日本語能力が必要に
申請者本人または常勤職員のいずれかが、「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の日本語能力を有することが必要です。
経歴(学歴・職歴)要件が追加
経営管理または事業に必要な技術・知識分野の博士・修士・専門職の学位を取得しているか、事業の経営または管理について3年以上の経験を有することが必要です。
事業計画書の専門家確認が義務に
提出する事業計画書について、具体性・合理性・実現可能性を、中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかが確認することが義務付けられました。
審査で確認される実務上のポイント
許可基準そのものに加えて、申請・更新の審査実務において確認される項目です。
業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合は、「経営・管理」に該当する活動とは認められません。
改正後の規模等に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要があり、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められません。
施行日後、改正後の許可基準に適合していない場合、「経営・管理」等からの永住許可申請や、「高度専門職1号ハ」から「高度専門職2号」への変更許可は認められません。
在留期間中、正当な理由なく長期間出国していた場合は、本邦における活動実態がないものとして在留期間更新が認められないことがあります。
更新時には、労働保険・社会保険の適用状況、および法人税・消費税等の国税、法人住民税等の地方税の納付状況が確認されます。
事業に必要な許認可の取得状況を証する資料の提出が求められます。在留許可を受けてからでないと取得できない場合は、次回更新申請時の提出でも可とされる場合があります。
Q&A 全32問
出入国在留管理庁が公表している質問項目をカテゴリ別に整理しています。気になる項目をタップすると回答が開きます。
対象は日本人、特別永住者、および法別表第二の在留資格(「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」)をもって在留する外国人に限られます。就労系の在留資格(法別表第一)をもって在留する外国人は対象になりません。
- 日本人または特別永住者を1名以上、常勤職員として雇用
- 法別表第二の在留資格の外国人を1名(日本語能力立証あり)以上、常勤職員として雇用
- 法別表第二の外国人1名(日本語能力立証なし)+法別表第一の外国人1名(日本語能力立証あり)を常勤職員として雇用
- 法別表第一の外国人(日本語能力立証あり)のみを雇用している場合
- 法別表第二の常勤職員のみだが、日本語能力の立証がない場合
休日等を除き、一定の勤務計画のもとで毎日所定の時間、常時その勤務に従事し、職務に応じた給与等が設定されていることが基本です。
- 労働日数が週5日以上かつ年間217日以上、週労働時間30時間以上
- 入社後6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合、年次有給休暇10日以上が付与されること
- 雇用保険の被保険者であり、週の所定労働時間が30時間以上であること
「在籍出向」「派遣」「請負」の形態で従事する労働者は、業務に従事している事業所の常勤職員とは認められません。
必ずしも全員分の提出は必要ありません。少なくとも1名が基準を満たすことが確認できれば差し支えありません。
登記事項証明書等により、事業の規模が3,000万円以上であるかを確認します。法人の場合は払込済資本の額(資本金の額)または出資の総額、個人の場合は事業所の確保・職員給与(1年分)・設備投資経費など事業に必要なものとして投下されている総額を確認します。
決算期が到来していない場合でも、設立時または設立後の任意の時点における貸借対照表を作成し、提出する必要があります。
含まれません。法人の場合の「事業の用に供される財産の総額」は、払込済資本の額(資本金の額)または出資の総額を指します。
法人の場合は資本金の額または出資の総額のみで判断するため、職員給与や事務所維持費などの投下額と合算することはできません。
1段目に「申請に係る事業の用に供される財産の総額」、2段目に払込済資本の額または出資の総額(法人の場合のみ)、3段目に1段目のうち申請人本人の出資額を記載します。
管理者として活動する場合でも、資本金等の要件を満たす必要があります。
合算はできません。複数の会社のうち、いずれか一つの会社が資本金3,000万円以上の規模である必要があります。
事業所の確保、雇用する職員の給与(1年分)、設備投資経費など事業に必要なものとして投下されている総額を証明します。具体的には直近年度の決算文書のほか、必要に応じて事業経費に関する領収書等の提出を求められます。
「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の日本語能力が必要です。日本人・特別永住者以外は、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定
- BJTビジネス日本語能力テスト400点以上
- 中長期在留者として20年以上の在留歴
- 日本の大学等高等教育機関の卒業
- 日本の義務教育修了+高等学校卒業
試験で証明する場合は合格証や成績証明書を、その他の方法による場合は住民票や卒業証明書等を提出します。申請書には「日本人を雇用している」「経営者がN2以上の認定を受けている」など、具体的な内容を記入する必要があります。
該当しません。小学校・中学校の義務教育を修了し、高等学校を卒業している必要があり、中学校から編入した場合はこの要件を満たしません。
日本の高等専門学校または専門学校を卒業した方も含まれます(恒常的に外国語で授業を行う課程や、通信教育課程を卒業・修了した場合は除きます)。
企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する方を想定しており、施行日時点では中小企業診断士、公認会計士、税理士が該当します。対象者が変更される場合はホームページで案内されます。
なれません。日本の中小企業診断士、公認会計士、または税理士の資格を持つ方が該当します。
申請人が経営する会社の役員や従業員の場合は、客観性確保の観点から評価者として認められません。外部顧問となっている公認会計士・税理士であれば、評価者として差し支えありません。
業務の大半を外部に委託し、申請人本人による日常的な経営活動を行っていない場合や、事業内容・財務状況など経営者として把握すべき情報を把握していない場合などが想定されます。
改正後の規模等に応じた経営活動を行う事業所を確保する観点から、原則として認められません。
一律の基準を示すことは困難ですが、改正後の規模等に応じた経営活動を行うために必要かつ十分な広さの事業所を確保する必要があります。
個々の在留状況に応じた判断にはなりますが、一般論として、決定された在留期間の累計で過半を超える期間、再入国許可(みなし再入国許可を含む)により出国している場合は、正当な理由がない限り、更新審査において消極的な要素として評価されます。
- 事業の規模や業務量から見て、各外国人が経営または管理を行うことに合理的な理由が認められること
- 各外国人が従事する業務内容が明確になっていること
- 各外国人が経営または管理に係る業務の対価として報酬の支払いを受けていること
これらを総合的に勘案し、各外国人の活動が経営または管理に当たるかどうかが判断されます。
国税:源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税/地方税:法人住民税(都道府県民税・市区町村民税)、法人事業税
国税:源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税/地方税:個人住民税(都道府県民税・市区町村民税)、個人事業税
各職員の国民健康保険加入状況は不要ですが、社会保険の強制適用事業所に該当しないことの説明と、事業主自身の国民健康保険加入状況の提出が必要です。
納付が義務づけられているものは、すべて提出が必要です。
労働保険は最寄りの都道府県労働局、社会保険は最寄りの年金事務所、国民健康保険は最寄りの市区町村、源泉徴収税・法人税・消費税・地方消費税は最寄りの税務署、法人住民税は都道府県の税金事務所及び市区町村で確認できます。
あらかじめ取得できないことについて正当な理由があると認められる場合は、取得できない具体的理由を説明した文書(様式自由)を提出してください。次回の在留期間更新許可申請時に取得状況が確認されます。
所属機関の登記事項証明書(法人の場合)や、所属機関における公租公課の支払義務の履行状況を明らかにする資料等が必要です。詳細は出入国在留管理庁の「経営・管理」案内ページで確認できます。
施行日の前日までに受付し審査を継続している申請については、改正前の許可基準が適用されます。ただし、改正前の基準で許可された場合でも、施行日から3年を経過した後は改正後の基準を満たす必要があるため、留意が必要です。
施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間は、改正後の基準に適合していない場合でも、経営状況や基準に適合する見込み等を踏まえて許否判断が行われます。
改正告示(令和7年経済産業省告示第124号)の施行日(令和7年10月15日)より前に確認証明書の交付を受けて在留している方からの変更申請には、改正前の基準が適用されます。その後の更新申請についても、施行日から3年を経過する日までは、新基準に適合しない場合でも経営状況等を踏まえて許否判断が行われます。
本ページの情報源
出典:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html


